エンディングノート 遺族が助かる財産情報

2014/09/12

 自分の死後に遺族らが困らないよう、伝えたいことをまとめておく「エンディングノート」が脚光を浴びている。その内容に法的な効力はないが、相続の考えを整理するのには良い方法だ。記者自身の体験も振り返りつつ、作成時の注意点などを考えてみた。 (白井康彦)

 人生の後半期への助言活動などをする「NPO法人ら・し・さ」(東京)は、二〇〇四年に独自のエンディングノート「ラスト・プランニングノート」を作り、改訂を重ねている。

 理事のファイナンシャルプランナー(FP)、高伊(たかい)茂さん(65)は「新聞で大きく紹介されたときは、電話が次々にかかって対応に追われた」と振り返る。同法人のノートには葬式やお墓、財産分けなどに加え、「今までの人生はどうあったか」「今後はどんな人生にしたいか」など、ライフプランに関する部分がしっかりと書けるようになっている。

 エンディングノートを用意した方がいいと考える人は多い。記者もそれは実感した。二年前に病死した妻は闘病中、家族らが困らないようにと大学ノートに思いついたことを書き留めていた。家の中のどこに何がしまってあるか、遺品はどう処分するか、といった記載は細かく、非常にありがたかった。家族それぞれへの思いも、別の紙にこまごまと書き残してくれた。

 「もう少し目立つように書いておいてくれれば」と思ったのは貯蓄の情報。妻の死の前後、看病や仕事、家事、葬儀などと追われ、目が回るほどの忙しさだった。この部分を読むのが遅くなり、相続の手続きに手間取る一因になった。近年は書店にさまざまなエンディングノートが並ぶ。「どれか一冊でも買って、妻に渡しておけばよかった」と悔いが残る。

 エンディングノートの主な記載事項は自分史、家系図、家族への思い、財産、相続、葬儀など。必要なことを整理して書いておけるので便利だ。相続や葬儀などの基本的な情報を載せているものも多い。

 財産の種類や預け先が多い人が、その情報を家族に明かさず死亡した場合、遺族は家中を探し回って通帳や金融機関から来た郵便物などを見つけねばならない。エンディングノートに記載しておけば、こういったことはなくなる。

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 FP、金融機関、出版社、葬儀社など、さまざまな団体や個人が作ったエンディングノートが販売されている。それぞれ内容に特徴があり、消費者は選択に迷う。高伊さんは「自分の感覚に合うものを選び、元気なうちに書けるところから始めましょう」と助言。「一番心を込めて書いてほしいのは家族らへのメッセージ欄です」と強調する。

 ただし、エンディングノートは法律で位置づけられたものではないことに注意が必要だ。法律家やFPらは「相続での遺産分けについての考えを書いても法的効力はない」と指摘する。相続トラブルの予防には、公正証書の遺言書を作るなど別の対策が必要だ。

 それでもエンディングノートを書くことで、遺産分けを考えやすくなる。遺言作成の準備作業になることは間違いない。

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