夏は相続の季節?

2014/08/08
最近経済誌や新聞の全面広告で目につくのが「相続」や「事業承継」関連の記事・広告だ。女性週刊誌では売れ行きが怪しくなると「京都特集」「奈良特集」を組むという話を聞いたことがあるが、最近の経済・ビジネス誌では相続が京都・奈良の役割を果たしているのかもしれない。
 
何故夏に相続?かというと、お盆休みで帰省した子どもたちが、故郷で親御さんと相続というややtouchy(やっかいな)な問題について話し合う機会がありそうだからだ。
 
相続そのものではないが、私も先日京都の実家に帰った時、父親と西宮にある父の両親・兄弟などの墓を将来どうするべきか?という話をした。父は西宮は公営墓地で永代墓地として権利があるから、墓は残しておくと良いという。しかし西宮には親戚はだれも住んでいないし、我々ももっと年を取ると余り墓参りに行くこともなくなるので、悩ましいなぁ、と思ったがその話はそれで打ち切りにした。高齢の父と議論して白黒をつける話ではないし、先のことは残されたものが判断すればよいと私は考えるからだ。
 
さて相続の話に戻ると、経済誌が記事に取り上げるのは「雑誌が売れる」からであり、新聞が全面広告を出すのはスポンサーがいるからである。今日(8月7日)の日経新聞の全面広告を見ると三井住友銀行・三井ホーム・税理士法人レガシィ・税理士法人平川会計パートナーズなどがスポンサーに名前を連ねている。
 
これらの企業がスポンサーに名前を連ねる理由は、これからしばらくの間「相続が大きなビジネスチャンスになる」からである。税理士法人を例に考えてみると、来年1月から相続税の基礎控除が現在の6割に縮小されるので、首都圏では相続税納税が必要なケースは現在7%から15%に拡大すると想定されるように、税理士への依頼案件が増えることが想定されるからだ。
 
といって私は税理士法人を揶揄するつもりは毛頭ない。むしろ最終的には相続税を払わなくて済む場合でも申請して税額軽減を受ける必要のあるケースも倍増すると思われるので、該当するケースの人は今から勉強しておくと良いと思うし、必要であれば税理士の方のアドバイスを受けるべきである。
 
ただし気を付けるべきことが一つある。それは一般的に「無料」で行われるセミナーや相談会には「スポンサーの隠れた意図」があることに留意して出席する必要があるということだ。たとえばハウスメーカーがスポンサーになる場合は、遊休土地に賃貸物件を建築させたいという意図があり、証券会社がスポンサーになる場合は、リスク資産を販売したいという意図があるということだ。
 
賃貸物件もリスク資産もそれ自体は悪いものではない。ただし取扱いを誤ると配当を生む虎の子のつもりが、単なる重荷に終わる場合があるという諸刃の剣であることを忘れてはいけない。
 
また「節税」に過度の力点をおいてものを考えるのも危険だ。節税はできたが、そのために相続人の間に埋めがたい亀裂が入るのでは本末転倒だ。
 
私は何事にしろ「タダで有効な話を聞くことできない」と考えている。「タダで相談に乗ります」という人が本当にあなたのためになるアドバイスをしてくれるかどうかは疑問だ。恐らく世の中それほど甘くはないのである。本当に有効な話を聞くためにはプロフェッショナルにお金を払うべきなのだろう。お金を払うことで相談を受けた専門家に「忠実義務」(顧客であるあなたのためにベストを尽くす義務)が発生するからだ。
 
ただし誰に相談すればよいか?という問題は中々悩ましい。そこに相続問題の一つの難しさがあるのだろう。

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