相続人だからもらえる??

2014/05/16

日本経済新聞に下記の記事が掲載されていました。
ご参考までにどうぞ^^

 人が死亡して相続が発生すると、故人名義の遺産は民法の決まりに従って相続人に引き継がれます。しかし、原則とは異なる方法で受け取り方が決まるものもあり、注意が必要です。
 
 通常なら、故人の遺産は相続人が話し合って「誰が何を受け取るのか」を決めます。ところが、そうした話し合いで決めることができない、相続人たちの意思が及ばない財産があります。例えば「生命保険金」「企業の死亡退職金や弔慰金」「遺族年金」などが該当するでしょう。
 
■相続人同士で保険金の分配を決めることはできない
 
 こうした権利は、当事者が亡くなったことでもらえるお金なので、「相続財産」だと思い込みがちです。実際はそうではありません。例えば生命保険金は、たまたま「夫の死亡」によって、生命保険会社から受取人に支払われるお金にすぎません。もともとそのお金は「保険会社のサイフ」に入っていたものです。「故人のサイフ」から引き継ぐ相続財産の中にはカウントされません。
 
 そして保険金は、保険契約の中であらかじめ受取人が指定されていることがほとんどです。相続が発生する前からお金をもらう人は決まっているわけです。死後に改めて「相続人同士で保険金の分配を決めることはできない」のが原則です。
 
 ただ、ややこしい話ですが、保険金が相続財産と「みなされる」場合もあります。ここは誤解を招きやすいところです。相続税を課税するときに「生命保険金は相続財産ではない」とすると、亡くなる前にすべてのお金を保険に代えておけば、簡単に相続税を逃れることができます。こうした事態を防ぐため、保険金は相続税を考える上では「みなし相続財産」として取り扱われ、課税対象に含まれるという原則があります。
 
■死亡退職金の支給方法は会社側の規定で
 
 「どう分けるかを相続人だけで決めることができない」という点では「死亡退職金」も同様です。死亡退職金の支給方法や条件などは、故人が勤めていた会社側の規定で定められているのが一般的です。あくまで、会社が決めたルールの優先順位に従って支給されるものです。いくら相続人側が「妻に手厚く」「子どもを多めに」などと考えても、勝手に配分を決めることはできません。
 
 ちなみに死亡退職金も法律上の相続財産ではありませんが、先ほどの生命保険と同様、税法上は「みなし相続財産」です。遺産ではないけれど、遺産のようなものとして計算しなさい……。本当に分かりにくい種類の財産です。
 
■遺族年金、支給要件は「相続人」にあらず
 
 最後に「遺族年金」です。これも人の死亡によって支給がスタートします。しかし支給される年金の財源は国などにあり、故人が残したサイフから支払われるものではありません。支給要件を見ても、「相続人」に対して支給する決まりではありません。大まかにいえば「生計を同じくしていた妻子など」に対して支給すると定められているだけです。
 
 ですから、相続人側で勝手に受取人を決めることはできません。死後の遺産分けの話し合いとは関係なく、どのような条件で支給されるのか、法で定められています。
 
 こうした違いを知らないと、思いがけないトラブルに巻き込まれる可能性があります。「相続で『長男は自宅、次男は保険金』は危険」でも書いた通り、生命保険金の理解を間違っていたばかりに、遺産分けの内容にクレームが生じる事態もあるでしょう。
 
 また遺族年金の話でいえば、夫との別居期間が長かった妻が「自分は相続人なので、遺族年金は当然、受給できる」と思い込む場合があります。いざ支給を受けようとすると「同居して生計を一緒にしていなかった」という理由で、年金支給を拒絶される可能性があります。あらかじめ知っていなければ、老後の資金計画が大きく崩れる事態となりかねません。
 
 普通は「相続人=財産の受け取り権あり」なので、そもそも自分に「遺産を受け取れる権利があるかどうか」は、あまり深く考えなくて済むかもしれません。しかし残念ながら、すべての財産にそのルールが適用されるわけではありません。受け取り条件の異なる財産や権利については、事前に調べてその性質をよく知っておきたいものです。

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