相続・遺言の話~不動産の名義を放置するということ~

2014/04/20

仮に不動産の所有者が死亡しても、法律上は、不動産の名義変更・名義書換をする義務がないようです。

義務がない以上、放置しておいても特に罰金などはありませんので、あえて相続登記を放置しておく方もいらっしゃいます。

相続後の不動産の名義書換には期限がありませんし、固定資産税も亡くなられた方の名前で通知されますが、代わりに税金を納めていれば市役所等から強制されることもないようで、この点が相続後の不動産名義書換を放置させてしまう原因なのかもしれません。

放置しておくデメリットとしては、まず、不動産を売却したり、担保に提供したりできないということです。

不動産を相続しても、その旨の相続登記を完了していないと、自分が不動産を相続したことを第三者に認めてもらえません。

ですので、不動産を売却したり、事業資金借入の際の担保に入れたりする場合には、前提として、相続登記を済ませておく必要があります。
そして、他の相続人に勝手に不動産を処分される可能性があります。

相続人が複数いる場合、各相続人が、各自の法定相続分に従って不動産の持分を相続するのが原則です。

そして、各相続人は、自分が相続した不動産の持分を自由に処分することができます。

したがって、相続人の中にお金に困った者がいる場合、その者が自分の持分を第三者に売却したり、お金を借りる際の担保にしたりする可能性があるようです。

「自分のところでは相続人全員で遺産分割協議を行い、自分一人が不動産を相続することが決まっているから、その点は心配ない。」と思われるかもしれませんが、残念ながらそれは誤りです。

仮に、遺産分割協議の結果、自分が不動産を単独で相続すると決まっていたとしても、その旨の相続登記をするまでに他の相続人が持分を処分した場合、その処分は基本的には有効となりますので、不動産の一部が他人に渡ってしまいますので、ご注意ください。
さらに、相続登記を放置している間に相続人が死亡すると、数次にわたって相続が発生し、相続人の数がネズミ算的に増大していきます。

最初は自分と自分の兄弟数名だけが相続人だったとしても、相続登記を放置している間に兄弟が死亡するとその甥や姪が相続人となり、さらに甥や姪が死亡するとその配偶者と子供が相続人になり、と枝分れしていくことになります。

遺産分割をしないままその相続人が亡くなるとその相続権が次の相続人に移行します。

次に、相続人が確定した後は相続人一人一人に連絡を取り、名義書換に協力してくれるようにお願いをするかたちになります。

相続人の中には面識の無い方、未成年者、認知症の方、行方不明者等人数が増えた分いろいろ問題が発生するかもしれません。

以上のように、思いがけないほどの時間と労力を要することになってしまいます。

結果として、その不動産は数十人の共有のまま、永久に放置されることになってしまうかもしれません。

もちろん、仮に相続人が数十人になっていたとしても、相続人全員の協力が得られれば、不動産を誰か一人にまとめる相続登記は可能です。

しかし、通常数万円で済む相続登記の司法書士報酬が、数十万円という金額になってしまうことがほとんどのようです。

不動産に限ったことではないのですが、相続財産を有効利用するためにも、早期の名義変更を行いましょう。これまでいろいろと説明しましたとおり、相続登記を放置しておくと様々なデメリットがある一方、特にメリットはありません。

たしかに名義書換には司法書士に払う報酬および法務局に納める登録免許税等の費用がかかるかもしれません。
しかし、早め名義書換しておけば数万円で済んだ費用が放置しておくことのより何倍もの費用になることは十分考えられます。
不動産の名義書換に限らず、相続の手続きに関して放置しておいて状況が良くなることは何一つないので、ご自身で進めなければ問題を先送りにするだけなのです。
まず、一人で悩まずに当事務所の専門家に相談してください。

相続花子

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