解決事例:家裁から届いた「遺産分割調停申立書」。専門家の調査で判明したアパート底地の意外な真実
1. ご相談の背景:突然届いた「裁判所からの封筒」
O市内にお住まいの60代男性が、事務所にお越しになりました。手にされていたのは、九州の家庭裁判所から届いた「遺産分割調停申立書」。申立人は九州に住む甥でした。相続人は約10名ほどいるようです。
叔母様が亡くなられたのは10年以上前。相談者様はその事実を、この書類が届くまで一切ご存じありませんでした。
「10年も経ってから、なぜ急に裁判所から……?」
書類到着からすでに1か月が経過しており、相続放棄を検討するなら残り2か月という限られた時間の中で、決断を迫られていました。
2. 相談者の期待:幹線道路沿いのアパートという「資産」
申立書に添付された財産目録には、複数の不動産が並んでいました。中には田畑もあります。
「昔、叔母の家に遊びに行ったことがありますが、幹線道路沿いの広い土地でアパート経営をして暮らしていました。不動産を売却すれば、相当な価値があるはずだ」
相談者様は、これらの不動産を相続することで、相応の遺産を手にできるのではないかと期待を寄せておられました。
3. 当センターの徹底調査:財産目録に隠された「違和感」
当センターで目録を詳細に精査したところ、ある決定的な「違和感」に気づきました。目録には確かにアパート(共同住宅)の記載がありましたが、その建物が建っているはずの「底地(土地)」の記載がどこにもなかったのです。
「建物があるのに、なぜ土地が目録に載っていないのか?」
この疑問を解消するため、当センターで急ぎ現地の登記情報を取り寄せた結果、ある事実が判明しました。アパートが建っている土地は、亡くなった叔母様の名義ではなく、全くの第三者(他人)名義だったのです。
4. 判明したリスク:資産だと思っていた土地は「借地」だった
つまり、叔母様は土地を所有していたわけではなく、地代を払って土地を借りる「借地」の上でアパートを経営していた可能性が極めて高いことが分かりました。
土地が自分のものでない場合、以下のようなリスクが伴います。
継続的な地代支払い義務が発生する
建物の老朽化が進めば、多額の解体費用を負担せねばならない
更地にして売却することが自分一人の意思ではできない
「価値ある土地を相続できる」と思っていた相談者様にとって、これは正に寝耳に水の話でした。
5. 解決後の状況:感情を排し、冷静な再検討へ
この事実を知った相談者様は、それまでの「得をするはずだ」という考えを一変されました。
「土地が自分の物でないのなら、将来的に管理や解体費用で子供たちに迷惑をかけるかもしれない。一度冷静になって、家族や申立人の甥ともう一度話し合います。相続放棄も視野に入れて検討します」と仰り、慎重に判断を下すために帰路につかれました。
【行政書士からのアドバイス】
「目に見える資産」が「真の資産」とは限りません。
今回のように、建物だけが目録に載っていて土地が載っていないケースでは、借地権や複雑な権利関係が隠れていることが多々あります。専門的な知識がなければ、これに気づかず相続してしまい、後から多額の負担や立ち退き問題に巻き込まれるリスクがあります。
裁判所から書類が届いた際、一番大切なのは「思い込みで判断しないこと」です。当センターでは、登記情報をはじめとする客観的な資料を徹底的に調査し、お客様が「後悔しない選択」をできるようサポートします。
この記事を監修した行政書士

P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。













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