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【スタッフブログ】民法改正により注目すべき相続の「10年ルール」と「3年ルール」

みなさんはこれから、相続の機会に遭遇したら「時間」を意識していかなければいけなくなります。
今年の4月より、「民法等の一部を改正する法律」が施行され、これまでの不動産にかかわる民法・不動産登記法のルールが変わります。その背景には「所有者不明土地」問題の解消という喫緊の課題がありました。

このような土地は現在、広さとして九州地方ほど存在していると言われ、公共事業や民間取引、土地の利用・活用の妨げとなったり、荒廃による周囲へ悪影響を及ぼしたり深刻な問題を生じさせています。
こうした事情から所有者不明土地の発生予防と土地の利用促進を狙い今回の改正がなされたのです。

10年ルール・その1

遺産分割に期限はない?

相続が起きたら、相続財産について相続人間で遺産分割協議を行い、誰がどの財産を相続するかを決めていくことになります。民法では、遺産分割をすることができる期間について制限はなく、期間が過ぎたら機械的に分割して遺産分割されたことにするといった決まりもありません。相続人は時間を気にせずに遺産分割をすることができるのです。

このように時間制限がないということはよく考えて決められるといった良い面だけではありません。いつでもできるわけですから、早くに遺産分割を終わらせようとするモチベーションがなくなってしまうのです。提出期限がない課題は後回しにしてしまうことと同じです。
ですから、時間が経てばたつほど分割に必要な証拠書類を集めるのが難しくなったり、新しい相続が次々に起きたりして相続関係が複雑になり、結果として所有者が誰か分からないいわゆる「所有者不明土地」が発生してしまうのです。

10年ルール

そこで今回の改正では、早期に遺産分割をしてもらうため、また時間が経っても円滑に遺産分割ができるように「10年」という区切りを決めました。

改正法では、相続開始のときから10年を経過したあとにする遺産分割については、具体的相続分による遺産分割ができず、法定相続分または指定相続分によって行われることになります。

具体的相続分とは、生前贈与や遺贈を受けたか(特別受益)や、被相続人の身の回りの世話をするなど生前に財産の形成・維持に貢献したこと(寄与分)を考慮して決めた相続分を指すのですが、改正法では、相続開始から10年過ぎるとこのような事情は考慮されないことになります。そうすると相続人間で不公平が生じてしまうことにもなりかねません。ただし、10年すぎても、相続人全員が同意すれば、具体的相続分による分割もできます。

相続人各々、亡くなった方との間で様々な事情があるかと思います。そういったことも加味して公平に遺産を分け合いたいと考えている方は、10年という数字を意識して早めに話し合いを始めたほうが良いでしょう。

10年ルール・その2

この遺産分割での10年という区切りは、他のところでも重要な意味を持ちます。

ある土地について共有関係にある一方が亡くなり、その人について相続が生じたとします。そうなると、その土地は通常共有(遺産共有以外の共有)と相続人間の遺産共有が併存している状態となります。

これまでは、このような状況を解消するには、2段階の手続が必要で、手間がかかっていました。
具体的には、遺産共有の解消は、家庭裁判所による遺産分割調停で、一方、通常共有の解消には地方裁判所等による共有物分割訴訟で実施しなければいけなかったのです。
それが、改正法では、相続開始から10年経過したときは、遺産共有の解消についても通常共有の解消と同じ手続きで実施することができるようになり、一元的処理が可能となりました。
  
次に、不動産を相続したところ、共有者の相続人の中に所在不明者がいる場合を考えてみましょう。例えば、その不動産を売却したい場合、共有者全員の同意が必要になるのですが、当然所在がわからない人の同意は得られません。民法には不在者財産管理人という制度があるので、まったくできないというわけではないのですが、その分費用も時間もかかってしまいます。そうなると結果として、適切な管理や処分ができず行き場のない不動産に陥ってしまうことになります。

改正法では、相続開始から10年経過したときは、所在がわからなくなった相続人の持分を取得したり、その者の持分を含めた不動産全体を譲渡したりすることができるようになりました。それにあたっては、裁判所の決定を得ること、所在が分からない相続人の持分の価額に相当する額の金銭を供託することが要件であることは留意してください。

3年ルール

3年」という時間もまた非常に重要です。

相続が発生した場合、それに伴い相続登記をする必要があります。ところが、この相続登記は義務とされていなかったため、登記しないことが法律上許されている状況でした。また、登記申請には費用がかかるため、それに見合う価値が相続不動産に無い場合には、登記しようとするモチベーションは低くなります。それが所有者不明土地の発生の要因の一つとなっていました。

相続登記が義務化されます

このような事情から、令和6年4月1日からは、相続や遺贈で不動産を取得した場合に、その取得を知った日から3年以内に相続登記申請をすることが義務付けられました。遺産分割が成立した場合には、その内容を踏まえた登記申請をすることも同時に義務付けられています。そして正当な理由がなく申請義務を怠った場合には、10万円以下の過料が課される罰則付きです。

このように登記申請が義務付けられましたが、それに合わせて、より簡単にこの義務を履行できるように、「相続人申告登記制度」も設けられました。これにより、相続人が、相続を開始した旨と自分が相続人である旨を登記官に申し出れば、登記申請義務を履行したものとみなされます。

これまでは、相続登記が義務ではなかった以上やらないという選択肢も許されていました。しかし、今後は必ずやらなければいけません。相続が開始したら、10年という時間に加え、3年という時間もまた意識していきましょう。

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この記事を監修した行政書士

P.I.P総合事務所 行政書士事務所

代表

横田 尚三

保有資格

行政書士

専門分野

「相続」、「遺言」、「成年後見」

経歴

P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。


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