出生前診断の告知ミスをめぐる国内初の訴訟
出生前診断の告知ミスをめぐる国内初の訴訟で賠償金が全額認められた一方で、『亡くなった子供に対して慰謝料を支払う義務はない』という判決が下ったようですね。
最近、コウノドリ(鈴ノ木ユウ)という漫画で21トリソミーというものを知りましたが、悲しい事ですね。
(Yahooニュースより)
「検査結果は異常なし」。医師からはそう告げられた。でも、生まれてきた我が子はダウン症を患い、3ヵ月でこの世を去った―出生前診断の告知ミスをめぐる国内初の訴訟で、ついに判決が下された。
「息子に謝ってほしい」
「私たちは息子が受けた苦しみに対して、ミスをした遠藤先生本人から謝ってもらいたいと思って訴えを起こしたんです。
確かに、もし告知ミスがなければ、あの子は生まれてこなかったかもしれない。でも一度生まれてきた以上は、痛くて泣いている我が子に、何かしてやりたいというのが親として自然な気持ちではないでしょうか。
ですから、賠償金が全額認められた一方で、『亡くなった子供に対して慰謝料を支払う義務はない』という判決が下ったのは残念です。たとえ私たちへの賠償金が減ったとしても、遠藤先生には一言、息子に対して謝ってほしかった」
こう語るのは、北海道北斗市に住む太田紀子さん(仮名、44歳)だ。
さる6月5日、太田さん夫妻を原告とする、出生前診断における「告知ミス」をめぐる訴訟で、函館地裁が判決を下した。国内初の判例となるその内容は、医師に計1000万円の賠償金を支払うように命じる厳しいものだった。
高齢出産が増えるとともに、急速に普及しつつある出生前診断。昨年春に始まった新型出生前検査では、お腹の胎児に先天的な異常があると知った妊婦のうち、9割以上が人工妊娠中絶を選んだというショッキングなデータも発表されている。
新たな医療技術には、つねに医療ミスが付きまとう。そしてそれが妊娠・出産にかかわる場合、ときにきわめて重く、複雑な問題を引き起こすこともある。太田さん夫妻に降り掛かったのは、まさにそんな難題だった。
本誌では、昨年の8月17・24日合併号で本事件について一度紹介しているが、ここで改めてその経緯を振り返っておきたい。
夫妻に4人目の子供が授かったと分かったのは、'10年秋。翌'11年3月、隣町の函館市にある産婦人科「えんどう桔梗マタニティクリニック」で超音波検査を受けたところ、お腹の胎児に異変が見つかったと告げられた。
「赤ちゃんの首の後ろが、少しむくんでいるようです」
胎児の後頭部のむくみは、先天的な染色体異常、とくに「ダウン症」として知られる21トリソミー(21番染色体が、通常の2本ではなく3本ある)の可能性を示すものだ。すでに41歳と高齢での妊娠だった紀子さんは、万一のことを考えて、羊水検査による出生前診断を受けることに決めた。
羊水検査とは、母親のお腹に細い針を刺して子宮の中の羊水を少しだけ抜き取り、その中に含まれる赤ちゃんの細胞などを調べて、染色体異常がないかどうか確定診断するもの。検査を受けて約3週間後、その結果がえんどう桔梗マタニティクリニック院長の遠藤力医師から夫妻に告げられた。
「検査結果は陰性でした。何も心配はいりません」
そう聞いて、夫妻は安堵した。ともに40歳を過ぎてからの4人目の子供ということもあり、もし障害をもって生まれてきた場合、育てられるかどうか不安があった。すでに学校や幼稚園に通い始めた上の子たちの子育てにも、影響は避けられないだろう。夫妻も遠藤医師も口にこそ出さなかったが、検査の結果次第では、人工妊娠中絶も視野に入っていた。
しかし、ついに出産を迎えた'11年9月、事態は一変することとなる。紀子さんは、当時のことをこう述懐した。
「予定日の3週間前、胎児の状態が危ないと言われ、緊急帝王切開で出産しました。猫のようにか細い声ではありましたが、息子の産声にはホッとして涙が出ましたね」
その直後、夫妻は出産を担当した医師からこう告げられる。
「お子さんは、呼吸機能が十分に働かず、自力で排便もできません。ダウン症をはじめ、多数の合併症を起こしています」
紀子さんが続ける。
「その瞬間は、何を言われたのか理解できませんでした。羊水検査で『問題ない』と言われていましたから、いわば絶対にあり得ないはずのことが起きたわけです。担当の医師に『おそらく、遠藤先生のミスだと思います』と言われて、ようやく何があったか分かりました」
赤ちゃんの障害は重かった。ダウン症、肺化膿症・無気肺、肝線維症、黄疸、肺や心臓・皮膚からの出血、腹水貯留……10以上の合併症があり、すぐに集中治療室へと運ばれてゆく。
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この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。