民法(相続法)改正(2018年7月6日成立)について7 ~配偶者居住権(短期)ができた!~

2019/04/16

大阪相続遺言相談センターです。

このシリーズでは、2019年から2020年にかけておこなわれる相続にまつわる民法改正や新制度創設について順に説明しています。

(これまでのスタッフ日記をご覧ください)

今回は、4つ目の「配偶者居住権」についてお伝えします。

2020年4月1日に施行される制度です。
(この日前に発生した相続については対象となりませんのでご注意ください)

少し先の話ですが、テレビや雑誌などで取り上げられていることもあり、最近の相談者からの改正についての質問として聞かれることが多く、みなさんの興味のある内容です。要チェックですよ。

<改正された点④>

この民法改正で変わることの4点目は

「配偶者の居住権を保護するための配偶者居住権の新設」です。

この制度には大きく分けて2種類あります。

1種類目は「配偶者短期居住権」といい、新民法1037条から1041条で制定されます。

今回はこの制度について説明しますね。

「配偶者短期居住権」とは、不動産の所有者であり居住者であった人が死亡(相続開始)してから、その相続人全員の遺産分割が終了するまでの間という比較的短い期間に限り、その不動産の所有者(被相続人)の配偶者(妻や夫)の居住権を認める制度です。

例えば、Aさん、妻Bさん、二人の間の子である長男Cさんという家族がいたとします。
Cさんが独立して家庭をもったあと、AさんとBさんとは、若い時にAさん名義で購入した自宅に2人で仲良く長きにわたり一緒に暮らしてきましたがAさんが大病を患い2020年5月1日に死亡しました。

Aさんは、自分に万一のことがあった場合は、この自宅の土地建物の名義は一人っ子のCさんにしてほしいと生前からBさんとCさんに伝えていましたが、遺言はのこしていませんでした。

そこで、BさんとCさんとは、法律上の相続分は2分の1ずつで、遺産分割協議という話合いをしてCさんの名義にするという書類をのこしました。
そのときにはCさんは「僕の名義になるけれどもお母さん(Bさん)はこの家に住み続けてもいいからね。」と優しい言葉を述べていましたので、Bさんは名義はCさんのものになるけれどもこの家に住み続けることができるんだったら安心だと思っていました。

ところが、遺産分割協議書が完成して、自宅の土地建物を相続登記によってCさんだけの名義にしたとたん、Cさんの経済状況が変わったのか、この自宅を売ってお金に換えたいからという理由でBさんに出ていってほしいと言い出しました。

今回の改正により、このような場合でも配偶者であるBさんの「居住権」が保護されるようになったのです。
その居住権は「Cが自宅を相続することが確定した日、または相続開始から6カ月を経過した日のいずれか遅い日までの間、Bは無償で居住できる」と定められました。
Bは無条件に無償で住めます。

BはCに、居住権が認められる期間は賃借料を払う必要はないのです。ただし、居住中の必要費用(軽微な補修費など)、固定資産税はBの負担ですし、Bは勝手に他の人を住まわせたりはできません。

いままではこのような権利は法律で定められていたのではなく、判例で認められていただけでした。画期的な法改正ですね。

<大阪相続遺言相談センタースタッフのつぶやき>

このように法律で決めてくれたけれども、6カ月って短い期間だなあ、それに内縁や事実婚の配偶者や、同性婚の配偶者には認められないというのも不十分だなあというのがセンタースタッフの率直な意見です。

シニア再婚、子連れ再婚が珍しくなくなった現代において、のこされた高齢の配偶者の居住権を守るためというけれども、この法律が今後どこまで活用されるのだろうと、不安が残ります。

では次回は長期の配偶者居住権について書きますね。お楽しみに。

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